松屋銀座100周年記念対談 「伝統と革新、そして未来へ」

◼️100周年の取り組みについて

インタビュアー 朝岡:今日はよろしくお願いいたします。

松屋銀座様は昨年開店100周年を迎えられ、有形・無形のブランド資産もたくさんおありになるということです。
そうした豊富なブランド資産に裏打ちされた様々な商品やイベント、コンテンツを使っていろいろな活動を実施されているというふうに伺っています。
どういったコンセプトのもとで、どのような施策をおやりになられているか、お聞かせいただけますでしょうか。

松屋銀座 河野さん:2025年5月1日に100周年を迎え、まもなく開店100周年から1年が経ちます。

「つなぐ、つながる、つなげる」をテーマに、今まで100年、銀座でお客様をお迎えできた感謝と、これから先の未来へ繋げていきたいことを様々なイベントや施策を通して表現してきました。

松屋銀座 河野さん:その中でも5月1日の開店記念日に合わせ新東通信さんと一緒に開発したスーベニアグッズは反響がありました。
1925年の開店当時に出した広告の中から文字を切り取って、小杉幸一さんにデザインしてもらった「松屋呉服店」トートバッグや、松屋の社章である松鶴マークをアップデートしたデザインのTシャツなどを販売しました。

松屋らしさを象徴するマークを使用して商品を作ってみたら面白いんじゃないかということで、実施をした100周年ならではの企画でしたが、完売商品もかなり出ました。
販売前は我々、若干不安だったんですよ。自分たちの自己満足にはならないかというところもあったんですけれども、「待っていました」と言わんばかりに、すごくお客様が来ていただいて買っていただいたのは、やはり長く皆様ともお付き合いをさせてもらって、松屋のことを大事に思ってくださっているお客様が非常に多かったのかなと。

インタビュアー 朝岡:レトロモダンでチャーミングな印象なのですが、それは全く人工的に作られたものじゃなくて、ちゃんと松屋銀座さまのヘリテージというか伝統に裏打ちされたファクトが背景にしっかりおありになるということですよね。
あと、ホームページやリリースで拝見したのは、お化け屋敷ですね。
去年の秋におやりになられたと伺っていますけど、それはどんなイベントだったのでしょうか。

◼️お化け屋敷イベントの挑戦

松屋銀座 河野さん:今から7年前の創業150周年というタイミングで、閉店後、百貨店というのは非常に暗い中に突然マネキンがいたりとか、いろいろ怖いよねということで、何か遊休施設として使えないかというアイデアが出たんです。
やはり営業時間外の開催はハードルが高いということで、コロナの時期もあって、そのアイデアは立ち消えたんですけれども、ある番組で著名な方から同じようなアイデアを聞いて、「やってみたらいいんじゃないの」ということで、100周年を機に思い切ってやってみたいということで形になりました。

松屋銀座 河野さん:やはり松屋というと銀座に本店を構えているので、お客様からやはり高級感であったり、伝統であったり、ある意味保守的なイメージを持たれているので、そういった意味ではかなり飛び抜けたというか、そこを突き抜けたような企画になりました。
事前予約制で2日間で60名という限られたお客様しか対応できなかったんですけれども——

インタビュアー 朝岡:そこに1600組もの応募があった。

お化け屋敷の運営には、社員の方が皆さん参加されていたそうですね。

松屋銀座 河野さん:はい、お化け屋敷の運営は松屋の社員自らも参加し作り上げました。
社内公募を募った際、手を挙げてくれるかなと不安だったんですけれども、皆さん手を挙げて、文化祭のノリで参加してくれました。
当日私は、一階で受付をしたんですけれども、上層階からすごい声が聞こえてくるぐらい、本当に怖がってくれて、本当に泣いちゃって「もう帰れない」というお子様もいらっしゃいました。
本格的なお化け屋敷になりました。

インタビュアー 朝岡:暗がりでマネキンが動くのですから怖いですよね。

松屋銀座 河野さん:社内で検証をして、「ちょっとここ弱いね」などチェックして、怖さにもこだわった仕上がりにしたので、お客様も本気で怖がって楽しんでくれました。

インタビュアー 朝岡:ブランドは伝統を守るだけではおそらくだめで、革新の要素も入れていかないといけないということですね。
先程ご紹介いただいたトートバッグとかもそうですけれども、まさにこういった挑戦も必要になりますね。
一方でお化け屋敷も松屋銀座様にゆかりのある梵字や日本の伝統工芸を交えた演出をされたというお話もあって、それもちゃんと伝統のいいところを引き継いでいるという感じもすごく受けました。
それからお化け屋敷の企画は社員の方が自発的に手を挙げてこのイベントを盛り上げようということで数多く参加されて、インターナルブランディングという意味合いでも興味深いなと思いました。

松屋銀座 河野さん:やはり銀座という土地柄と、品格という言葉もありますけれども、いわゆる遊園地ですね、そういったところをやっているお化け屋敷をそのまま持ってきてもしょうがないので、やはりそこは松屋ならではのやり方にこだわって作っていきたいという思いがあります。

インタビュアー 朝岡:ありがとうございます。銀座という立地と松屋銀座らしさを打ち出すことは重要ですね。

◼️エコシステムとしての銀座

インタビュアー 朝岡:やはり、いかに伝統があるブランドでも、そのブランドが単独で生き続けていくことは難しくて、お客様を商品やサービスを買ってくれる方であると同時に、またファンだったりサポーターだったりという形で関係性を深めることが大切ですね。
それから、銀座にはたくさんの名店がございますし、松屋銀座様のお店に入っていらっしゃるテナントの方もいらっしゃいますね。
そういう方とも、エコシステムを構築して、商売上の競争相手でありながら価値共創のパートナーのような形でずっとやってこられたと思います。

特にコロナ禍のような本当にビジネスの継続が難しくなる事態になったときには、何かいろいろ取り組みをされたというようなお話を伺いました。

松屋銀座 河野さん:そうですね。
やっぱりうちの経営方針で「共存共栄」ということがあるんですけれども、やはり銀座の中で、銀座の皆さんとともにやっていくということが一番に考えていることだと思って。
銀座の中でのハブの役割というか、松屋を通じて、銀座をより増幅して発信できるような、銀座の皆様とのお取り組みみたいなものを、催事であったり、イベントであったり、いろいろな企画に落とし込んで、やっていきたいというふうには思っています。

インタビュアー 朝岡:松屋銀座様のウェブサイトを拝見していくつか興味深いお取り組み発見したんですけれども、例えば「銀座をつなぐコッペパン」は非常に面白いなと思いました。

松屋銀座 河野さん:そうです。
これは日頃のお取引とつながりがあって実現したんですが、やはり銀座木村家さんのパン生地を使って、それと銀座の銘店の皆様の持つ看板商品を1つのコッペパンにしてお届けする企画です。
ご協力をいただけるということは信頼を置いていただいているのかなと思ってます。
これもやはり銀座の街の皆様と築いてきた関係があるからこその取組みです。

インタビュアー 朝岡:あと、コロナ禍の時のお取り組みで私が感銘を受けたのは「銀座フローズングルメ」ですね。
すごく皆さんの熱い思いというものが滲み出ている。

松屋銀座 河野さん:うちのフローズングルメのバイヤーも、やっぱり最初はなかなかこう、海外の冷凍技術の会社に、松屋という小さな会社が入り込むことが難しかったんですよね。
そこにやはりいろいろな縁があって、そのバイヤーの熱意というものがやはり実を結んだということと、やはり銀座の皆さんのお味を冷凍技術を使って届けるということに皆さん賛同してくれて実現したというのは異例だと思います。

インタビュアー 朝岡:ありがとうございます。
私は技術的なチャレンジはもちろん大切なんですけれども、例えばお店の方もやはり「銀座フローズングルメ」によってすごく経済的にも支えられたということだけではなく、自分たちのブランドをさらに発展させて、価値共創のプラットフォームを通じて広めることもできたし、加えてコロナ禍で外食がままならず辛い思いをされているお客様も非常にそれによってハッピーになった。
「三方良し」の構造ができていて、そういった仕組みづくりは今の世の中、非常に重要になっているかなというふうに思いました。

◼️地域創生への取り組み

インタビュアー 朝岡:「銀座の若旦那が選ぶ『粋モノ』づくし」「GINZA人の選ぶ美モノ+粋モノ」の企画にも感銘を受けました。
それからあと、地域共創のお取り組み、具体的には地域の創生、日本各地の伝統工芸みたいなものをアップデートして、地域のPRだけではなくて、地域との交流人口を増やして、日本の地方の経済の活性化につなげていこうとお取り組みをされていると伺いました。

松屋銀座 河野さん:一足飛びにできているわけではなくて、本当に一つ一つ小さな縁を積み上げて、やっと実現したという感じなんです。
もともと宣伝を担当して、店内での装飾ですとか発信に長けた人間と繋がりがあった高知県の産業振興推進部長だった方が、たまたま副知事になられて、そこでいろいろつながっていって。

一つは、土佐組子です。
高知県の木材を使ってプロダクトを作ったり等、ショーウィンドウなど店内装飾を中心に高知県をはじめとした日本の地域の伝統や技術をお客様に銀座から発信しています。
松屋と各地域で連携協定を結び、連携の輪が広がっています。

◼️ブランド価値の進化

インタビュアー 朝岡:私がブランドの、今なぜブランドが差別化していかなきゃいけないかというところで、いろいろお話するときにこの図を使っているんですけれども、日本の社会では同質化とか成熟化が進んでいて、機能価値とかイメージ価値ではブランドの差別化が難しくなってきたので、ブランドの視座を上げて、ブランド体験価値とか共創価値とかいったところに着眼して企業のマーケティング活動をやっていかないと、なかなかうまくいかないということになってきたかなというふうに思います。

さらに、最近では、サステナビリティとかウェルビーイングの考え方が浸透する中で、ブランドの社会的な存在理由みたいなこともものすごく重要だというふうに思われています。
そういう流れの中で、松屋銀座様としては、未来に向けたいろいろなチャレンジもされているというふうに思っております。
ちょっとそれらについてお話をお伺いしたいのですが。

松屋銀座 河野さん:例えば「銀座ミツバチプロジェクト」というところと組んで、銀座で採れたハチミツと松屋のデパ地下に入っているブランドにコラボレーションしてもらい、新しいお菓子を仕入れて、松屋ブランドで発信していくことは結構あります。
「銀座ファッションウィーク」もそうですね。

インタビュアー 朝岡:震災復興支援なども。

松屋銀座 河野さん:そうですね。
東日本大震災の時にも、全くお客さまが来なくなっちゃって、よその百貨店も苦しんでいました。
そういうときに銀座三越さんと、一緒に手を取り合って、日本の良さというものを銀座から発信して、日本全体を元気にすることができるかな、というのをチャレンジする企画でした。
最初に取り組んだテーマが「日本のデニム」だったんですけれども、日本の伝統織物は非常に海外のブランドの方もメーカーもこぞって買いに来るほど質が高いんだけれども、意外と日本の方はその魅力をご存知ないところがあって。

そういったものをそれぞれの百貨店が分担して商品を提供して、ものをつくって、ファッションショーをやって、日本を元気にしていこうということを銀座から発信して皆さんと一緒にやりました。

インタビュアー 朝岡:私たち生活者から見ると、松屋銀座と銀座三越って結構近接していて、ロケーション的にもライバル関係みたいなこともあって、なかなか一緒に組んでやるってハードル高かったんじゃないかと推察しますけれども。

松屋銀座 河野さん:当時は多分あり得ないことだったんですけれども、その当時の店長も含めて、私の上司だった販促の担当もやはりすごく意気投合して、「今一緒にやるときだ」と。非常に意義のあることになったと思います。

インタビュアー 朝岡:でも、やはりみんな銀座から世の中を明るくするために頑張っているという懐の深さというか。

松屋銀座 河野さん:それを見た他の百貨店も参加したいと言って、その後、3店舗でより大きな形でということもありました。

◼️ビューティフルマインドの取り組み

松屋銀座 河野さん:「ビューティフルマインド」という企画をやっておりまして、やはり心も体もきれいになるということに、やはり社会性も満たしていくということも非常に重要な時代になっているんだと。
そのお客様の選択肢の一つとして、「こんなものもあるよ」をビューティフルマインドというフィルターを通して選んで、それと各県との取り組みを一緒にしてお客様にお届けしていくという流れも作っております。
非常に広がりが出て、お客様からも支持されてきました。

インタビュアー 朝岡:ただ、地方の良いものを紹介するんじゃなくて、やはりお客様のウェルビーイングというお客様価値につなげていくということですね。

松屋銀座 河野さん:それぞれやはりテーマがあって、高知県は非常に木材振興に力を入れているんです。
それをどう売り出していくかというのが非常に課題でした。
そういったことを松屋がある程度できるところを解決して、いろいろな商品に落とし込んで。木のサイクルですよね。
そういったものをお客様に伝える。
銀座のショーウインドーですとか発信力というものを使って一緒にお取り組みをしていくというのが、いわゆる社会性の部分と経済的な価値というものを両方兼ね備えた取り組みです。

インタビュアー 朝岡:しかも、それをお客様の生活の中で具体化するということですね。
これを買われた方は生活の中に取り入れて使っていきますので、そうするとやはり新しい暮らし方とか、何かライフスタイルがアップデートされたような感じになったりするのかもしれません。

松屋銀座 河野さん:ただ物を買うだけじゃなくて、そのストーリーも一緒に伝えることで、そのお客様の生活とか気持ちもアップデートされるといいかなと企画側としては思っています。

インタビュアー 朝岡:ありがとうございます。

◼️次の100年に向けて

インタビュアー 朝岡:最後に、ちょっと少し気は早い感じもするんですけれども、100周年を迎えて、また次の100年をどうしていくかということについて、ちょっと思いを巡らせたいというふうに思っています。

100年先の未来を考えると、真っ先にAI(人工知能)の飛躍的な進化とビジネスやライフスタイルへの実装のようなことが思い浮かぶと思います。
私は2014年から世界最先端・最大規模のテックイベントCES(毎年1月初旬に米国ラスベガスで開催)にずっと取材に行っているんですけれども、今年はAIがサイバー空間だけではなくて、物理的な世界を学習・理解して自律的に推論能力を発揮する「フィジカルAI」がイベントの中心テーマでした。

「フィジカルAI」の出現によって人型ロボットとか自動運転とか、工場や倉庫の自動オペレーションみたいな今までは夢の技術だと思われてきたことが、一気に社会実装に向けて進化するんだなという印象を強く受けました。
実際に人型ロボットでは、テスラのオプティマス(Optimus)だとか、ボストンダイナミクスのアトラス(Atlas)などは、今年から量産されて自動車工場の組み立て現場に入ってきますし、自動運転ではグーグル系のウェイモ(Waymo)やアマゾン系のズークス(Zoox)といったスタートアップが米国内で既に自動運転の車を走らせています。

インタビュアー 朝岡:文明開化の頃から銀座の街の役割を紐解いていくと、ちょっと古いんですけれども、やっぱり新しいものが真っ先に入ってきたじゃないですか。
例えばガス灯だとかレンガ造りの建物だとか、ショーウインドーみたいなお洒落なディスプレイ、多分銀座が最初だと思いますし、明治から大正にかけて、西洋から最先端の衣食住が、新しいものが入ってくるという中で、銀座の街の中心である松屋銀座様がそれらを一流の審美眼を持って翻訳し、日本人にわかりやすく紹介したというふうに考えております。

今後の100年でどうなるかということなんですけれども、私はこんなことが本当に松屋銀座様の展望とともに起きる時が来るんじゃないかと思うのですが。
例えばAIコンシェルジュがいる買い物体験がお客様に提供できているとか、ロボット職人が出てきて、何か実演販売みたいなことをやるとか、お客様の要望を取り入れてロボットがカスタマイズするとかですね。
あとお客様の買い物後の時間設計を想像するに、自動運転の車内で、例えば素敵な洋服を買ってご自宅に帰られる方に松屋銀座様が作られた合成動画映像みたいなものが、車のフロントグラスとかに映し出されて、お客様の気持ちを上げる、高揚感を高めるような、体験型のサービスを提供するとか。
あるいはAIロボットに裏方の業務を任せておいて、でもやはり重要な場面では生身の社員が前面に立って丁寧な接客をするような店舗の運営というのも十分あり得るのかなと思います。
こういう変化が恐らく銀座の街でも起こるでしょうし、また松屋銀座様の店内でもまさに一般化するのではないかなというふうに思います。
それについてはどうでしょうか。

松屋銀座 河野さん:何か、この今までの100年とこれからの100年ということを考えると、スピード感もだいぶ違うと思うんですよね。
やはり風呂敷を持って靴を脱いで百貨店に入っていったという時代から、箱はそれほど変わっていないんですけれども、周りをきれいにして、中身も変わって、ただ、百貨店というスタイルがずっと変わらずに、いわゆる「人間産業」というふうに呼ばれてきた流れもあって、人対人の商売ということをずっと続けてきたんだと思うんですね。

そこにはやはりこの100周年にあたって弊社の社長からの言葉があったんですけれども、もともと甲府の商人だった古屋徳兵衛という人間が始めたこの事業が、やはり原点に返ると、親切で感謝を込めてやっていこうという商人の原点を思い出して、お客様に接客していこうみたいなことが、やはり最後は人間だよねというところに戻るんですね。

そうはいっても、こういった新しい進化というのがこのスピード感で入ってくるかというのは全く想像もつかないんですけれども、人のぬくもりとか、その人がいるから買いに行こうみたいなことは、こういったコンシェルジュとかロボット職人とか、こういったところで代替できるんでしょうか。
そういうふうになってくると、またAIもお客さんの好みを学習していて、人間にはできない親密な関係性とかもできてくるのであれば、何か「銀座フィルター」という言葉があるんですけれども、銀座の中で受け入れられたものはどんどんどんどん進化していくけれども、そうじゃないものは淘汰されていく。

そうじゃなければ、他のエリアはこれを全部やってるけれど、銀座だけは特に人のぬくもりでやっていくみたいなことももちろんあるかもしれません。
でも、何か非常にやっぱり面白いですよね。

やっぱりお客様にも新しい進化みたいなものを常に発信する場だと思うんですよね。百貨店というのは。
しかも、松屋はファーストランナーが多くて、例えば福袋とか、松屋が日本で初めて始めたという説もあって、例えばこういうAIとかロボットの活用みたいなことも何かファーストランナーになってきそうですね。

インタビュアー 朝岡:お話を聞いていて思ったりしたんですけれども、今、「銀座フィルター」ということで、ファーストランナーがやるような最先端テックを驚きではなく、これからの日常に翻訳し、社会に定着させる編集者である——私は、これが松屋銀座様のすごさというんですかね、「なりわい」(生業の本質)といいますか、そういうことかなと思っていて、じゃあこの四角のスペースに入るキーワードは何なのかなんてことをちょっと考えたんですけれども。

例えば、「最先端テックを『驚き』ではなく、『品格ある日常』に翻訳して、社会に定着させる編集者が松屋銀座であり、銀座の街」という、河野様が「銀座フィルター」とおっしゃったのはそういうことなのかなというふうに理解をしました。

松屋銀座 河野さん:やはり豊かな生活とよく言われるんですけど、そういったところに松屋がいかにお手伝いできるかを常に考えている。
あと、「ハレとケ」じゃないですけれども、「ハレの場」ということを意識した百貨店の営業というのをやっているんですけれども、でも何か「品格ある日常」というと、何かある意味近いような感じもあります。
日常が豊かになっているような印象も受けますし、何かそれが最終的にうまく融合しながら街が発信できると、そういう編集者という形になれるといいかなと思いますね。

インタビュアー 朝岡:やはり価値をアップデートして、ライフスタイルにつなげていくということが、おそらく「翻訳」されていくという意味合いかなと思うんです。

松屋銀座 河野さん:やはりこれをやるのは結局、人間の力というのは、人間力というか、百貨店の中でも「翻訳」できる人がどれだけいるかというのが勝負の分かれ目になっていくと思います。

◼️まとめ

インタビュアー 朝岡:ありがとうございます。
今日は本当に100周年を迎えられた松屋銀座様とブランドについてお話をさせていただきましたけれども、それこそブランドの伝統と革新の部分の大切さだとか、いわゆるエコシステム構築への熱意ですよね。
銀座のお店やサプライヤー様、テナント様との価値共創のコラボレーションによるエコシステムをつくるというあり方だとか、あと経済価値だけではなくて、体験価値や社会的な存在価値が重要になっていて、そういうところもちゃんと目配りをしているということ。

さらには、最後に、ちょっと気は早いのですけれども、次の100年という価値をどう発信していくかというところで、松屋銀座様のブランドの未来と果たすべき役割について楽しくディスカッションさせていただきました。どうも大変貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

松屋銀座 河野さん:ありがとうございました。