三菱商事ライフサイエンスのスキンケアブランド「SYOSA」ブランディング

岸仲:本日は三菱商事ライフサイエンスの川久保茉莉香さんをお迎えしています。
川久保さんとはスキンケアブランド「SYOSA」のブランディングをご一緒しました。まず最初に、「SYOSA」のご紹介をお願いできますでしょうか。

川久保:
「SYOSA」は、日本の伝統美を体現する「所作」に由来するメディカルコスメブランドです。華道や茶道に通じる優美な美意識を礎に、日々の暮らしの中で所作そのものが洗練されることを願い、2025年3月末に誕生しました。
シリーズの核となる成分は、植物の成長を支える希少成分『アザオキソヒポキサンチン(AOH)』。米や野菜にも含まれるAOH は、環境ストレス下でも植物を健やかに育む力に着目された成分で、SYOSAはこの知見をもとに、独自の発想「美肌好潤環® 」を展開し、肌の持つ美しさを引き立てるアイテムを提案しています。


SYOSAブランドサイト:https://shop.mcls-ltd.com/Page/lp_article_syosa.aspx
岸仲:今回、電通ブランドコンサルティング室の元室長で法政大学大学院客員教授、GINZA CREATIVO共創クリエイターである朝岡先生と一緒に、「SYOSA」のブランディングをお手伝いさせていただきました。実際にやってみていかがだったでしょうか。「ここがよかった!」という点があればお話しいただけますでしょうか。
川久保:「SYOSA」のブランディングを進める中で特に良かったと感じたのは、メンバーそれぞれが思い描いていた“SYOSAらしさ”を可視化・言語化できたことです。これによって、ブランドとしての軸がより明確になり、迷ったときに「SYOSAらしさとは何か」を改めて立ち返ることができるようになりました。
ブランドストーリー案を出し合うワークも、とても印象に残っています。コンセプトやフレーズのヒントがたくさん詰まっているので、アイデアが出ずに煮詰まったまったときに見返すことで、新たな発想が生まれることもあります。
座学で終わるのではなく、より実践的なワークショップ形式で進めていただいた点もとても印象的でした。ブランディングを検討するノウハウを身に着けることができたので、実はその後、他の製品(原料)のコンセプトづくりにもこのワークショップスタイルを応用させていただいていたんですよ。
また、ワークショップの前に実施していただいたブランド勉強会もとても有意義でした。「ブランディングって何のためにやるのか」「なぜブランド力を高めることが大切なのか」が腹落ちしたことで、ワークショップにもより前向きな気持ちで参加できました。学びながら一歩ずつ自分たちのブランドを育てていく、そんな実感を得られた時間でした。


岸仲:ブランディングをご一緒させていただいて、私が印象的だったのは、マーケティングご担当者だけでなく、研究開発、営業など様々なご担当の方が一堂に会してワークショップを行ったことです。みなさまとても活発に意見をおっしゃっていて、楽しそうに議論されていました。普段はこういう形でしゃべることはないけど、いろんな部署が集まってチームになれてよかったとおっしゃっていました。
ブランディングはどうしても上からの一方通行になりがちです。また著名なクリエイターに頼む方法もありますが、そのブランディングはどうしても著名なクリエイターならではのブランディングになってしまいます。現場のみなさまだからこそできる、ブランドならではの独自性、発想、考え方があるはずです。
また議論が深まるほど、みなさの距離感が縮まり、まさに「ONE TEAM」になれたように思います。インナーブランディング、ブランドの浸透としても有効だったように思います。

川久保:まさにおっしゃる通りで、部署を横断して議論できたことがとてもよかったなと感じています。SYOSAチームは少人数ということもあり、自分たちの考えが他部署の方からどう見えているのか、正直なところ不安に思うこともありました。
今回のワークショップでは、同じ部署やオフィスのメンバーだけでなく、普段は別の拠点で働く方々にも参加していただけたことで、新しい視点や意見をたくさんもらうことができ、とても有意義な時間になりました。
また、普段なかなか話す機会のない部署の方と直接意見交換できたのも大きな収穫でした。立場や役割は違っても、「SYOSA」というブランドをどう育てていくかを一緒に考える中で、自然と一体感が生まれたように感じます。ブランドづくりを通じて、チームとしてのつながりもより強くなったと思います。

岸仲:
ありがとうございます。0から立ち上げたSYOSAブランド、今回ブランドの独自性や考え方の整理をご一緒したわけですが、この取り組みを活かしながら、これからどういう活動をしていくかについてもお話を伺わせてください。
川久保:今後もまずは医療機関向けの展開を中心に、誠実に取り組んでいきたいと考えています。その上で、より市場やお客様のニーズに寄り添ったご提案ができるよう消費者調査にも力を入れながら、“愛されるブランド”へと育てていきたいと思っていますし、原料メーカーとして、キー成分AOHの認知度も高めていきたいですね。
SYOSAのローンチから半年が経ち、課題や新たな気づきも見えてきましたが、ワークショップを通じてブランドの核がしっかりと定まっていたおかげで、検討の際に迷いが少なかった実感があります。ワークショップの段階でターゲットやポジショニングをあらかじめ明確にできていたことで、課題への向き合い方もぶれることなく進めることができましたし、今のブランド運営の強い支えになっていると感じています。


岸仲:GINZA CREATIVOの「Brand Future Hat」のフレームワークは、ブランドにまつわる様々な課題を網羅的に解決することが可能です。企業様の課題に合わせてカスタマイズ、トータル24時間のワークショッププログラムです。今後とも多くのブランドのサポートができるように、私たちも日々検証、進化していきたいと思います。
川久保さん、本日はありがとうございました。
川久保:こちらこそありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
対談メンバー紹介
三菱商事ライフサイエンス ダイレクトマーケティング部プロダクトマネジメント課 兼 化粧品事業部国内営業課
川久保 茉莉香
2019年より化粧品原料の営業やプロモーションに携わり、2023年に会社として初となる新規化粧品ブランド立ち上げに参画。ブランドマネージャーとして、2025年3月に化粧品ブランド「SYOSA」のローンチを担当。表情やふるまいまで美しくなれるような、人々の人生にそっと寄り添う製品をお届けしたいと考えている。美容好きが高じ、プライベートでは2018年より美容ライター・クリエイターとしても活動中。
GINZA CREATIVO ブランドクリエイティブディレクター
岸仲 真
ブランド開発からブランドプロモーションまでトータルに行うクリエイティブディレクー。銀座の地域活性化プロモーションや地域創生ブランド開発に携わる。GINZA CREATIVOのエグゼクティブクリエイティブディレクターとして、共創パートナーの朝岡氏とともに、企業のブランドにおける様々な課題を解決するため「Brand Future Hat」を推進。